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【空き家問題編4】本当の空き家問題はこれからだ!

分譲マンションの空き住戸問題

 1960年代後半~70年代に旧住宅金融公庫(現住宅金融支援機構)で住宅ローン融資制度が利用できるようになったことで、当時のサラリーマンはこぞって戸建住宅や分譲マンションを購入しました。

 東京都内の多摩ニュータウンに代表される、5階建てエレベーター無し、床面積4050㎡、2Dk3DKタイプのマンションに住むのが平均的サラリーマンのスタンダードな住宅事情でした。

 郊外型の大規模開発により戸建てやマンション住宅を供給した住宅・都市整備公団(現UR都市再生機構)等と同時期に、民間のマンションディベロッパーでは、都心により近い立地の利便性を売りにした、中・小規模開発のマンション住戸を多く供給しました。

 そして今、マンションの耐用年数50年を超えたこれらのマンションはどうなっているのでしょうか?

当時30歳代でマンション住戸を購入した人も、既に80歳を過ぎています。子供は独立し、配偶者に先立たれた場合、高齢者が独りで住んでいるケースも少なくありません。

 老朽化した分譲マンションの一番の問題は、そこに住む住民の高齢化です。マンションの管理組合は住民で組織しているため、その高齢化により、徐々にその機能が失われていきます。また、住民当事者が亡くなり、空き住戸になることも多くなります。子供が相続しても、そこに住むことはなく、マンションの管理費や修繕積立金を滞納する場合も少なくありません。

 多摩ニュータウンなどの大規模開発による分譲マンションは管理もしっかりしており、修繕や建替えも比較的容易に実施することができています。しかし、総戸数が50戸未満の小規模なマンションは、住民の高齢化により管理組合が機能しなくなったり、修繕積立金が確保できずに、経年劣化した建物の補修工事もできない状況にあるケースも散見されます。

また、価値のない郊外の小さなマンションは相続放棄される場合もあり、今後こうしたマンションの空き住戸はますます増えていくことが予想されます。

相続放棄されたり、所有者不明の分譲マンションの空き住戸は、最終的に裁判所の競売にかけられ一般入札されますが、放置された住戸の場合は管理費や修繕積立金が滞納されていることも多く、入札者が前所有者の滞納費用を負担しなければならないので、競売で落札されないこともあります。

このように老朽化した分譲マンションの空き住戸問題は、一戸建ての空き家問題以上に深刻なのです。

  • 1970年代に建てられた分譲マンション

   

 

 本当に怖いゴーストマンションの末路

 一級建築士である小林道雄氏は著書『分譲マンション危機』(幻冬舎MCで述べています。 

《国民の約10人に1人が分譲マンションで生活している現在、居住者たちは大きな危機に瀕している。老朽化と大規模修繕、管理組合との付き合い、住民の転居と高齢化……。住まいが「ゴーストマンション」に至る危険性を知っているだろうか?》と。

 さらに、小林氏は日本人が45年後に直面する「避けられない運命」として、恐るべき予想をしています。

《なにせ、現状もそうですが、空き店舗やシャッター街でもわかるように人口減少が影響しはじめ、近い将来は、転売もできない分譲マンションや戸建住宅が散見されるようになります。

今から45年後の2065年の国民の人口は約8800万人になると予想されています。簡単にいうと、全てのモノが現在の2/3になるということですので、1/3は不要となり、なくなる勘定になります》

つまり、現在35歳の人が2020年に5,000万円以上で購入したタワーマンションが45年後にゴーストマンションになっている可能性が高いということです。その頃、高齢化はさらに進み、平均寿命が90歳以上になっています。80歳になった高齢者が、1/3が空き住戸になったゴーストタワーマンションに独りで住んでいる光景を想像しただけでも怖くなるのは、私だけでしょうか?

 人が歳を取るのと同じように、建物も老朽化していきます。

人口が減少し、「土地余り・住宅余りの時代」になる将来に備え、私たちもそろそろ不動産所有に対する考え方や分譲マンションに適用される日本型区分所有法のあり方そのものを見直すことも考え始めなくてはならないのかもしれません。