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【住まいなんでも相談編3】住まいの問題から社会の問題へ

 社会的つながりの弱い人の問題

日本学術会議社会学委員会社会福祉学分科会は、2018年9月に「社会的つながりが弱い人の支援のあり方について」の審議結果を取りまとめ提言しました。

政府は、2016年に地域共生社会に向けて、「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部を立ち上げました。福祉サービスの対象者ごとの縦割りの弊害を指摘し、社会的孤立や制度の狭間で対応できないがゆえに、「丸ごと」支援の対象にするように転換を求めています。

一方、近年増加している社会的つながりの弱い人の問題は、単に縦割りの弊害を解決し、地域住民を主体とした支え合いの構築だけでは解決できない問題であると指摘しています。

これまでの社会福祉制度は、安定的な家族・職場・地域社会を前提として、それらで支えきれない生活問題を抱える人を、高齢者・児童・障害者・低所得者など、生活問題を抱える人の属性に応じて、類型化して支援してきました。しかし、社会的つながりが弱い人の問題は、属性による類型化では捉えきれず、支援体系そのものの見直しが必要です。

コミュニティ・ソーシャルワークとは

今後ますます深刻化することが予想される社会的つながりが弱い人への支援について、コミュニティ・ソーシャルワーカーを中核とした支援体制が期待されます。

 コミュニティ・ソーシャルワークは、コミュニティに焦点をあてた社会福祉活動・業務の進め方で、地域において支援を必要とする人々の生活圏や環境面を重視した援助を行いながら、地域を基盤とする支援活動を発見して支援を必要とする人に結びつけたり、新たなサービスを開発したり、公的制度との関係を調整したりすることをめざすものです。

大阪府では市町村とともに、2004年度よりコミュニティ・ソーシャルワーク機能配置促進事業に取り組み、2012年度には市町村の社会福祉協議会や高齢者施設に154人のコミュニティ・ソーシャルワーカーを配置しています

その結果、地域において属性による類型化では捉えきれない、いわゆる「ゴミ屋敷」問題における市町村と民間業者を連携させた新しいごみ処分の体制や、認知症患者の徘徊行動に対応する市のメールサービスなどの新しい行政サービスが実施されるようになりました。
 全国的にも、地域や行政、社会福祉協議会などのさまざまな組織が主導する形でコミュニティ・ソーシャルワーカーを配置する動きが広がっています。

住まいの問題は現実社会の縮図

3年前の空き家等なんでも相談会の相談事例です。

71歳のパーキンソン病のご主人と65歳の妻のご夫婦が来て、「どこか住めるところがないか」と尋ねられました。事情があり、住んでいたアパートを出て、仕方なくスーパー銭湯に寝泊まりして数カ月経つとのこと。このままではじきに持ち金も底をつくし、不動産屋に行っても保証人がいないので、物件を紹介してくれないと言いました。

残念ながら、私には何の解決の糸口も提示することができず、ご夫婦は帰りました。

もう1事例、50歳代後半の統合失調症の女性の相談。現在80歳の母親名義の自宅に二人で住んでいるが、将来母が亡くなったら、他家に嫁いだ妹からは、実家を売却して現金を分配してほしいと言われている。母親の死後、自分の住む家がなくなったらどうしようと不安を訴えました。

この相談にも、私は明確な回答を出来ずに終わりました。

この2つの事例により、当時私は相談援助技術の未熟さを痛感させられました。

私にとって苦い経験となった2つの事例は、住まいの相談としての属性はありますが、紛れもなく社会的つながりが弱い人への支援課題であり、従来からある縦割り型の社会福祉支援システムではすくい切れない側面を持っています。

私は、2018年に設立した「こしがや空き家活用協会」で空き家等を活用したコミュニティの創出を推進するとともに、保証人がいない高齢者の入居支援を自治体の福祉職員と連携してやったり、成年後見制度を補完する家族信託ができる司法書士とも協同しながら、相談者のあらゆるニーズベースに立ったワンストップ支援者を目指しています。

)市町村におけるコミュニティ・ソーシャルワークの配置事業に関する新ガイドライン

-市町村における地域福祉セーフティネットの構築に向けて-  

2011年3月  大阪府福祉部地域福祉推進室地域福祉課